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さらさちゃんと母なる星(混沌的原案) ブログトップ

遠泳~遥かな誕生の海へ [さらさちゃんと母なる星(混沌的原案)]

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泳いでも泳いでも、泳ぎきれないアタシがいる。
溺れたっていいの、このまま天へ召されるのなら。
綺麗な星の一粒一粒が、暖かく光って、
アタシを応援してくれている。
今はまだ泣かない。
懐かしむのは、もうちょっと後でいい。
記憶の波にのまれながら、アタシは泳いでいく。
どこまでも、遥かな遠い誕生の海へ向かって・・・。


2011-01-05 00:11  nice!(7)  コメント(0) 
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さらさちゃんのオカアサン♪ [さらさちゃんと母なる星(混沌的原案)]

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わたしとさらさちゃんは、いつも一緒だった。
あの日、海で出会って、家に連れて帰ってきてからずっとね。さらさちゃんは、すくすくと大きくなったの。てのひらに乗るほどに小さくてかわいかったさらさちゃんは、えさをどんどん食べて、コイと同じ大きさになったの。体の色はエメラルド色で、ところどころについている七色のはん点がお星さまみたいに光っていてきれいだった。夜、明かりの消えた部屋で、さらさちゃんのお星さまを見ていると、なぜだかほっとしたわ。

お父さんがね、ある日言ったの。さらさちゃんをこれ以上家で飼うことはできないって。どうしてよって聞いたら、大きくなりすぎたからだって。たくさんえさをあげるわけでもないのに、どうしてこんなに大きくなったのか調べたんだけど、さらさちゃんと同じ種類のお魚はどこにものっていなくてわからなかったんだって。どうやら、さらさちゃんは、新しい品種の魚らしいの。そのことを知り合いの人に話したら、ぜひゆずってもらえないかって言うんだって。
わたしは、そんなのは絶対嫌だった。さらさちゃんを手放すなんて。だから、どうかお願い、わたしがめんどうをみるから、さらさちゃんをどこかへやるなんてやめてって言ったの。お父さんは、そんなに言うならしっかりめんどうをみなさいと言ってくれた。

それから、わたしは、いっしょうけんめいに、さらさちゃんを育てたわ。お魚のことを勉強したし、観察しながら、さらさちゃんのことを見守り続けた。
小学生だったわたしが、中学生になるころ、さらさちゃんは、体長90センチの大きな魚に成長していた。性格は温和で、飛びはねてさわぐようなこともなくて、いつも水の中でじっとしていた。お父さんが特注でたのんでくれた水槽も小さく感じるほどに大きくなった。さらさちゃんを、これから、どうやって育てていこうかと思っていた頃、地震があったの。大きく揺れて、さらさちゃんの水槽の中の水が大量にこぼれてしまったの。さらさちゃんは少なくなった水の中で、びっくりしていた。あわてて、水を足して、あらためて気がついたわ。さらさちゃんが生きていくには、大量の水がいる。もしも今、ここにわたしがいなかったら、さらさちゃんは死んでしまっていたかも知れない。それから、テレビで魚の群れを観た。そこでは、さらさちゃんと似たようなお魚が、ゆうゆうと海を泳いでいた。わたしは、さらさちゃんをもっと大きな場所で、泳がせてあげたくなった。

わたしは、友達と水族館に行った。驚いた。なんとまあたくさんのお魚がいることだろう。自分で世話をしていないし情もないから気楽にながめられる。水族館の魚たちの幸せについて考えた。そんなこと誰にも聞けない。魚自身に聞くわけにもいかない。どうなんだろう。わたしは、魚をじっと見続けた。君たちは幸せなのかな?さらさちゃんをもし、ここにあずけたらどうなっちゃう?そこに飼育員が歩いてきた。飼育員はこの春はいったばかりの若い人で、口は悪いけど、親切だった。わたしたちの質問にいろいろ答えてくれた。もしも、さらさちゃんをあずけても、この人ならしっかり育ててくれそうだと思った。わたしは決心した。さらさちゃんを、水族館にあずけることにした。

中学2年生の夏休みは、わたしにとって思い出深いものになった。年間パスポートをつくって、毎日のように水族館へ行き、さらさちゃんの様子を見に行った。時には、えさやりの手伝いもしながら、ボランティアのまねごともさせてもらった。さらさちゃんは、大きな水槽の中でひれを動かし、気持ちよさそうに泳いでいたし、えさもよく食べて、みるみるうちに大きくなっていった。飼育の人も驚くばかりだった。さらさちゃんは、まったく新しい種類のお魚だった。こんなに成長の早い魚は他にいないくらいに。それに、夜になると光る斑点は、すぐに名物となった。

さらさちゃんは、わたしが水槽の前に行くといつでもすぐに寄ってきた。遠くからでもわかるらしくて、そばに行く前に、待っていることもあった。飼育の人でもそうはいかないらしく、やっぱり飼い主のことをおぼえているんだねって、感心していた。わたしは話した。
「さらさちゃんはこの頃、帰りたいっていう目をしている。でも、もうこの大きさになってしまったら、もう家で飼うわけにはいかないでしょ、どうしたらいいか悲しくなっちゃう」
夏休みの終わりの日、さらさちゃんは、もっと大きな水槽に移された。

秋になって、さらさちゃんは、イルカよりももっと大きくなっていた。しばらく見ないうちにこんなに大きくなるなんて、本当に驚いた。本当にさらさちゃんなの?それは、あった瞬間にお互いにわかる感覚だった。その夜、大雨が降った。どんどん水かさが増していった。洪水になってしまったら、水族館のお魚たちはどうなるのかしらと心配になった。
水族館の外は、海の水が押し寄せて、すでに、腰くらいまで水かさがあった。わたしはいつも開け放してある休憩室の丸い窓まで泳いで行った。だけど、流されて、壁で頭を強く打ってしまった。
(さらさちゃん・・・)
(みーちゃん、今、助けに行くよ)
水の底、薄れゆく記憶の中で、わたしはさらさちゃんの声を聞いた。さらさちゃんが、私を助けにきてくれる・・・。さらさちゃんが・・・。

(飼育員の目線から)
今日は、地球と月の間をすい星が通り過ぎていくという。すい星はまるで、長い尾をもった魚のようにみえるらしい。1000年に一度の天体ショーを見てやろうと、ぼくは、宿直室を抜けだして、展望台の上にいた。まさか、ここまで水かさが増すとは思ってもみなかった。こうなってはもう、中には戻れないし、助けを待つしかない。
その時、空を光が流れて行った。光は異様に美しく、水の中を照らした。
光の中で、水族館の中から外へと泳いでいく魚たちをながめていると、一匹の巨大魚が、こちらへ近づいてきた。そいつは、展望台の階段のすぐ下の、水のてっぺんまでやってきた。エメラルド色が一段と輝き、背中の星もいつも以上に光っていた。驚いたことに、口をあけると、中に、気を失ったみなみがいた。僕は、一瞬で事態をのみこんた。

「おまえ、溺れたみなみを助けたのか?」
その時、空から声が聞こえた。
「わたしのベイビーはどこかしら?」
すると、アイツが、しゃべりだした。
「アタシは、ここよ、オカアサン」
「まあ、そんなに大きく育つなんて・・・どうしたことでしょう」
「みーちゃんが、育ててくれたの」
「シンジラレナイことです・・・魚を捕って食べるこの星で、人間がそんなことをするだなんて」

ぼくは、みなみをおこした。幸い、水は飲んでおらず、すぐに気がついた。

「あら?わたし?ここは?」
「みーちゃん、気がついた?」
「さらさちゃん!よかった。無事だったのね」
「みーちゃん、今まで育ててくれてアリガトウ。飼育員さんもアリガトウ。そして、さようなら」
「さようならって・・・?どこへ行くの?」
「宇宙の海をひとまわりして、1000年したら戻ってくるわ」
「1000年だなんて、そんな未来、わたしはもう生きていないわ」
「みーちゃんのこと、忘れないよ、ずっと。この星のオカアサンは、みーちゃんだよ」
空から、再び声が聞こえた。
「さあ、もう行かなくちゃ」
「ほんとに、行っちゃうのね、さらさちゃん」
「バイバイ、みーちゃん」
「ばいばいっ、さらさちゃん」
そして、巨大魚さらさは、ひれを大きく振って、空へ向かって泳いで行った。エメラルド色の光はやがて空のかなたへ見えなくなっていった。アイツは、もっともっと大きくなって、1000年の後には、地球に卵を産みに来るのか?それが本当かどうか、確かめることなんてできやしないや。

(みなみの目線)
わたしは、小さなころからのさらさちゃんのことを思い出すと、いとしさがこみあげてきた。大切に育ててきたのに、もう、さらさちゃんには、逆立ちしても会うことはできないだなんて、悲しすぎる。
「さらさちゃんが帰りたがっていたのは、わたしの家なんかじゃなかったんだわ」
「そんなことないよ」
飼育員さんが言った。
「だって・・・」
「思い出してみなよ。アイツは、いつも、水槽の中できみが来るのを待ってたんだよ。それに、溺れそうになったきみをここまで運んできてくれたのもアイツだ。きみが大事に育てた『さらさちゃん』は、同じようにきみのことが大事だったに決まってる。言ってただろう?この星のお母さんは、『みーちゃん』だって。あいつにとっての生まれ故郷は、いつまでも、ここなはずだよ」
「飼育員さん・・・」

わたしは、空を見上げた。この先、どんなことがあっても、わたしは、さらさちゃんと過ごした日々を忘れないよ。だから、さらさちゃんも、また生きて、この星へ帰ってきてね。その頃には、わたしはいないけど、でも、地球は、あるはずだからね。
さようなら、そして、ありがとう、わたしのいつまでもずっと大切なお魚、さらさちゃん。

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2010-11-30 05:53  nice!(5)  コメント(0) 
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